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ロンドン2019年5月 14日
中国の鞍山鋼鉄向け中国初のスラブ鋳造機用 SRD セグ メントを受注
- 近代化によって厚板圧延機で用いるスラブの品質が向上
- 水平ストランドガイドで SRD セグメントを使用することにより操業柔軟性が向上
- 中国で初めて SRD セグメントを導入
- スラブ厚が最大 360 ミリメートルに増大
- 「コネクト& キャスト」方式による迅速なプラント始動
プライメタルズテクノロジーズ(Primetals Technologies)は、中国の鞍山鋼鉄集団公司(Angang Iron & Steel Group Co.:鞍山鋼鉄)より、第 1 製鋼工場のスラブ連続鋳造機の近代化工事を受注しました。 近代化される鋳造機は、既存 1 号機の後継となる予定です。本プロジェクトは、下工程の厚板圧延機で 使用するスラブの品質向上と、スラブ最大厚を 300 ミリメートルから 360 ミリメートルに増大させるこ とを目的に実施されます。さらに、水平ストランドガイドに SRD セグメントを設置することで柔軟性 も向上します。これは中国の鋳造機として、初の SRD(Single-Roll DynaGap)セグメントの導入とな ります。事前に設定およびテスト済みのパッケージに基づいた「コネクト&キャスト(Connect & Cast)」方式が迅速なプラント始動の基盤となり、完工は 2019 年の第 3 四半期の予定です。
中国遼寧省鞍山市を本拠地とする鞍山鋼鉄は、年間 3,570 万トン超(2017 年実績)の生産量を誇る中 国有数の鉄鋼メーカー、鞍山鋼鉄集団公司の一員です。同社の第 1 製鋼工場は、BOF 転炉、レードル炉、 RH 真空脱ガス装置の工程を組んでいます。1999 年に同工場に設置された 1 ストランド式スラブ連続鋳 造機 1 号機の生産能力は年間 100 万トンです。同機の湾曲半径は 10.6 メートル、凝固完了長さは 34.7 メートルで、板厚 250、300、および 360 ミリメートル、板幅 1,500~2,000 ミリメートルのスラブを鋳 造しています。鋳造速度は毎分 0.4 メートルから 1.5 メートルの範囲で、中・高炭素鋼、マイクロ合金 鋼、低合金鋼、合金鋼、高合金鋼のほかに、パイプグレード鋼と厚板グレード鋼も生産しています。
今回の近代化工事では、この鋳造機に鋳型レベル制御システム「レブコン(LevCon)」が装備されま す。カセットタイプのストレート鋳型「スマートモールド(Smart Mold)」には、湯もれ検知システム 「モールドエキスパート(Mold Expert)」、自動スラブ幅調節機構「ダイナウィデュス (DynaWidth)」、鋳型オシレーター「ダイナフレックス(DynaFlex)」が装備され、またストランド ガイドシステムには、スラブ厚を遠隔制御する「スマートベンダー(Smart Bender)」、鋳造用ロール の上下位置自動制御機構「スマートセグメンツ(Smart Segments)」、ローラー支持システム「I-Star」 が導入されます。そのほか、タンディッシュ、タンディッシュカー、鋳型、オシレーター、ベンダー、 セグメント、およびアライメントスタンドの詳細エンジニアリング、ならびにストランドガイドシステ ム用組み込みパーツと SRD ハードリダクションセグメント一式の供給もプロジェクトに含まれていま す。
高い内部品質が要求される鋼種のスラブを確実に生産するには、最終凝固点とそれを実現するソフトリ ダクションに関する正確な知識が求められます。当社が新たに開発した SRD セグメントの導入により、 正確な最終凝固点制御が可能となり、鋼種、過熱、冷却、また鋳造速度に応じて、各ロールギャップを 個別に動的に調整できるようになります。各ロールが独立して力を伝えるため、より高い圧下率が実現 され、鋳片の中心偏析や中心空孔が低減します。SRD セグメントは、ベアリングやロール表面の損傷を 防ぐ過負荷保護機構が各ロールに搭載されるなど、長い運転サイクルと容易なメンテナンスを実現する 設計となっています。各ロールは機能ユニットに組み込まれており、メンテナンスエリアでの交換だけ でなく、生産を停止した状態の鋳造機内での迅速な交換も可能です。また個々のロールユニットは、セ グメントへの装着前でも単独でテストと調整が可能です。
二次冷却システム「ダイナックス 3D(Dynacs 3D)」により鋳片全体の温度分布が動的に計算され制 御されるため、鋳造速度、スラブ形状、および生産鋼種に合わせて、鋳片の冷却作用点と最終凝固点を 正確に設定することが可能となります。軽圧下システムの「ダイナギャップソフトリダクション (DynaGap Soft Reduction)」はスラブの内部品質を改善するために用いられます。ダイナックス 3D の算出した結果に従って、各ロールギャップが最終凝固中に動的に調整されるため、鋳片の中心偏析が 最小限に抑えられます。また二次冷却では、中央部と端部の設定が可能なスプレー冷却システム「ダイ ナジェット(DynaJet)」が使用されます。
さらに、いくつかのエキスパートシステムも装備される予定で、二次冷却システムのノズルの詰まりや 漏れをオンラインで高精度に検出する「ノズルエキスパート(Nozzle Expert)」、品質関連のデータを オンラインで追跡・制御・管理し、鋳造品の品質を予測して継続的に改善する「クオリティエキスパー ト(Quality Expert)」、どのような鋳造状況においても過熱度や加熱速度などの影響を考慮しながら、 最適な鋳造速度を定期的に計算する「スピードエキスパート(Speed Expert)」、スクラップを最小限 に抑えて歩留まりを最適化するよう、スクラップ部分、品質欠陥、重量制限、板幅変更を考慮に入れて 切断長を最適化する「イールドエキスパート(Yield Expert)」、モールドプレートなどの鋳造機の各 機器を監視して、予防保守に関する有益な情報をオペレータに知らせる「イクイップメントエキスパー ト(Equipment Expert)」などが含まれます。このほか当社は、据付け、試運転、稼働に関するアドバ イスサービスも行います。
コネクト& キャストは、プライメタルズテクノロジーズの登録商標です。
プライメタルズテクノロジーズ製の 1 ストランド式スラブ連続鋳造機
プライメタルズ テクノロジーズ (Primetals Technologies, Limited)は本社を英国・ロンドンに置き、金属鉄鋼産業における、エンジニアリン グ及びプラント建設全般の世界的リーダーかつライフサイクル・パートナーです。当社は電機、オートメーション及び環境の総合ソリューショ ンを含めた技術、製品、サービスの一式を提供しており、鉄鋼のあらゆる分野を網羅するだけでなく、非鉄分野でも最新の圧延ソリューション をお届けします。当社は、株式会社日立製作所ならびに株式会社 IHI が資本参加している三菱日立製鉄機械と、シーメンス・グループのシーメ ンス VAI メタルズテクノロジーズ社の統合により発足した三菱重工のグループ会社です。出資比率は三菱日立製鉄機械が 51%、シーメンスが 49%です。従業員数は全世界で約 7,000 人。詳しくは、下記 URL より当社公式ウェブサイトをご覧ください。 公式ウェブサイト:www.primetals.com