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ロンドン2019年10月 09日
アルセロール・ミッタル社モンレヴァデ製鉄所で溶銑脱 硫と除塵システムが稼働開始
- Mg + CaO の同時インジェクションを行う新しい定量投入装置を初めて設置
- 低レベルの硫黄含有量、大幅な脱硫剤の低減、処理時間の短縮
- 約 900,000 m3 /時間の処理能力で煤塵の排出を最小限に抑える新除塵システム
- L1 と L2 の高度なオートメーションと取鍋ハンドリングシステムも導入
プライメタルズテクノロジーズ(Primetals Technologies)は、ブラジルの製鉄会社アルセロール・ミ ッタル社モンレヴァデ製鉄所(ArcelorMittal Monlevade)に向け 130 トンの溶銑量に対応する脱硫ステ ーション(DeS)および新除塵システムを納入し、その稼働が開始されました。この新設備は、同製鉄 所の拡張および品質改善プログラムの一環として導入されました。当社初となるマグネシウム(Mg)の 定量投入装置と酸化カルシウム(CaO)の圧力ディスペンサーを組み合わせた脱硫ステーションの設置 により、0.005%(50 ppm)未満の低硫黄レベルが達成可能になります。トピードカーでの処理と比較 し脱硫剤の消費量が大幅に低減され、処理時間は 30 分未満に短縮されます。当社が納入するレベル 2 システムにより最終硫黄含有量を高精度で予測することが可能となり、予測値との偏差を平均 5 ppm 未 満に抑えることができます。新たに設置された除塵システムの処理能力は 1 時間に約 900,000 m3 です。 また、溶銑容量 130 トンの取鍋用ハンドリングシステムもプロジェクトの一部に含まれました。
脱硫ステーションについて、当社は、そのエンジニアリング、主要機器の供給、ならびに据付およびス タートアップの指導を担当しました。この設備には、Mg を投与するための定量投入装置、CaO を投与 するための圧力ディスペンサー、ランスとインジェクションシステムに加え、アンローディングステー ション、貯蔵用サイロ、材料搬送装置を含む材料処理システムが備えられています。今回のプロジェク トの重要ポイントのひとつは、プロセスモデルを備えたレベル 1 とレベル 2 の完全なオートメーション システムの導入でした。これにより正確なプロセス管理と脱硫剤の投入が可能となり、また最終硫黄含 有量を高い信頼性で予測できるようになるため、CaO および Mg のインジェクション比率を 2:1 から 10:1 の範囲で柔軟に最適化できるようになりました。この同時インジェクションは、Mg と CaO の搬送 と完全に切り離して制御されます。脱硫ステーションは、流動化された CaO または CaC2(炭化カルシ ウム)でも操業できるように設計されており、CaO と CaC2どちらか一方のみの投入も可能です。
定量投入装置には、Mg の連続的かつ正確な投入を可能にする 2 つの並列したピストンがあります。Mg の流量はシステムの圧力に依らずピストン速度だけで決定されるため、圧力ディスペンサーの影響を受 けません。この機構により、Mg の搬送速度を毎分 3~15 kg という広範囲で変化させることが可能です。 石灰(酸化カルシウム)や炭化カルシウムのような粉末材料は、高性能な圧力ディスペンサーを通じて 投入されます。取り付けられているすべてのバルブや制御装置は、最高の安全基準を満たすよう設計さ れています。
当社の新脱硫ステーションは、トピードカーで行われていた既存の脱硫装置に取って代わり、脱硫剤の 消費量と処理時間の両方を削減しました。さらに、トピードカーの洗浄作業が軽減され、スラグ除去の 簡易化とスラグ除去中のメタルロスの低減にもつながりました。
新しい除塵システムは、2 基の BOF 転炉、脱硫ステーション、スラグスキミングスタンド、そして溶銑 ミキサーで発生する煤塵を処理します。当社は、転炉排ガス冷却用クーラー、8 個のチャンバーと 11,270 m2のフィルター面積をもつパルスジェットフィルター、そして定格電力 1,500 kW の吸込(ID) ファン 2 台の設計、納入、据付を担当しました。ろ過された粉塵は容器に排出される仕組みです。今回 のプロジェクトでは、溶銑容量 130 トンの取鍋用ハンドリングシステムも供給範囲に含まれており、取 鍋に加え、一体化した取鍋傾斜装置とスラグ除去機を備えた移動台車などが取り付けられました。
モンレヴァデ製鉄所は、ミナスジェライスの州都であるベロ・オリゾンテから 120 km 離れたジョア ン・モンレヴァデにある一貫製鉄所で、焼結工場 1 プラント、高炉 1 基、130 トンの BOF 転炉 2 基、 取鍋炉 1 基、ビレット鋳造機 1 基の上流設備を操業しています。ビレット鋳造機は、断面 155x155 mm のビレットを鋳造し、110 万~130 万トンの年産能力を有します。鋳造されたビレットは 3 基の圧延ラ インを経て、タイヤコードやばね鋼など高品質用途向けの直径 5~40 mm のワイヤロッドへと処理され ます。モンレヴァデ製鉄所は南北アメリカ大陸における最も重要なタイヤコードの製造会社としての位 置を占めています。
毎分 3~15 kg の速度で Mg を正確に供給する定量投入装置
プライメタルズテクノロジーズ(Primetals Technologies)は本社を英国・ロンドンに置き、金属鉄鋼産業におけるエンジニアリング、プラント建設、およびライフサイクルサービスの提供を行うパイオニアかつ世界的リーダーです。当社は電機、オートメーション、デジタライゼーション、及び環境の総合ソリューションを含めた技術、製品、サービスの一式を提供しており、原材料から完成品まで鉄鋼のあらゆる分野を網羅するだけでなく、非鉄分野でも最新の圧延ソリューションをお届けします。当社は、三菱重工グループの100%出資によるグループ会社で、従業員数は全世界で約7,000人です。詳しくは、下記URLより当社公式ウェブサイトをご覧ください。
公式ウェブサイト:https://www.primetals.com/jp