• 鉄鋼生産をよりクリーンにする北米最大のツインステーション真空タンク脱ガス装置
• 2ストランド連鋳機の大幅更新でスラブ内部品質を改善
• 30日間の非常に短い運転停止期間を予定

プライメタルズ テクノロジーズ（Primetals Technologies）は JSW スチール U.S.A.のオハイオ州ミンゴ ジャンクション拠点にあるスラブ鋳造インフラ更新工事を受注しました。 本工事範囲には、製鋼、二次冶金、連続鋳造工程が含まれ、同社が鋳造する高機能鋼種が拡充されるため、新たな市場への参入を可能にします。

このプロジェクトは既に着工されており、完工予定は2025年後半です。

北米最大の真空タンク脱ガス装置

当社は、乾式メカニカル真空ポンプシステムを備えた230トンの真空タンク脱ガス装置（vacuum tank degasser、以下 VTD）の据付を行います。 北米最大サイズのこのVTDはさまざまな工程で炭素、酸素、窒素、水素、硫黄のレベルを低減し、JSWスチールU.S.A.の鉄鋼生産をよりクリーンなものにします。

プライメタルズ テクノロジーズ U.S.A. 上流設備機器責任者 Joerg Buttler氏談 「JSWスチールU.S.A.は、スペースが限られたミンゴ ジャンクション拠点にこのVTD設置を希望していました。当社はJSWのミンゴチームと密接に連携し、スペース、予算、冶金上の目標に応じた特別設計を行いました。」

VTDの設計には、乾式メカニカルポンプ、真空フィルター、集塵装置など、プラント全体の機械・電気設備が含まれており、新たに導入する原材料ハンドリング技術、関連補助システム、冶金プロセスモデル、レベル1とレベル2の完全自動化システムの統合も行います。 新たに導入する原材料ハンドリング技術、関連補助システム、冶金プロセスモデル、レベル1とレベル2の完全自動化システムの統合も行います。

JSWスチールU.S.A. ミンゴ ジャンクション COO Jonathan Shank氏談

「この度の更新工事で当社の供給能力が強化され、ビルド・アメリカ-バイ・アメリカ法（BABAA）に準拠しながら再生可能エネルギーとインフラ市場の拡大するニーズに対応できるようになることを楽しみにしています。

当社の持続可能性へのコミットメントを強めると同時に当社の製品ポートフォリオが拡大し、成長への勢いがさらに増すでしょう。」

驚異的に短い運転停止期間

2ストランド連続鋳造機更新範囲には、主要な機械設備、No. 2 ストランドのレベル1自動化、レベル2完全自動化システム、モールド監視システム「Mold Expert」が含まれます。 さらに、Software as a Service（SaaS）のコンセプトに基づき、長期的なソフトウェア サブスクリプションモデルも受注しました。

通常、連続鋳造設備の改修には数ヵ月の運転停止期間が必要です。 しかし、このプロジェクトでは運転停止期間を30日としています。 これだけの期間短縮は、既存のコンクリート基礎とストランド支持構造を継続使用し、時間のかかる解体作業を不要としたことで可能となりました。 また、新しいストランドに特別設計の固定装置を用いることも期間短縮につながりました。

特許取得済みの連続曲げ矯正プロセス「Smart Segment」により、 米国市場向けの高品質なAPI規格に準拠した厚板の生産専用となるストランドのロールギャップはオンラインでの遠隔調整が可能です。 「Smart Segment」のパラメータは、当社が開発した高度な数学モデルに基づいて設定されるため、 設計段階ですでに連続鋳造機は最適化されており、モールドレベルの不規則バルジングのリスクがなくなります。

品質向上

ストランドの各セクションの温度をリアルタイムで正確に把握することは、スラブの二次冷却の完全な最適化に非常に有効です。 冷却セットポイントを調整する二次冷却モデル「Dynacs 3D」がこれを可能にします。 さらに、ストランドの最終凝固点を計算し、冷却プロセスを緻密に制御します。 また、軽圧下パッケージである「DynaGapSoft Reduction 3D」の導入で、スラブ凝固を確実に制御し、中心偏析を低減することでスラブ内部の品質を大幅に改善します。 ストランドガイドシステム「DynaGap」は、オペレーターがボタンを押すだけでロールギャップを調整することを可能にします。

契約締結時のJSWスチールU.S.A.とPrimetals Technologiesの代表者。 この契約で両社の長年にわたるビジネス関係が今後も続きます。