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Slab caster CCM#3

ロンドン2016年9月 29日

Primetals Technologies、ウクライナの MMKI 社向け スラブ連続鋳造機および二次精錬設備を受注

  • スラブの年間生産能力を 400 万トンに増強
  • 2 ストランド(条)方式スラブ連続鋳造機、ツインポジションレードル炉、精錬設備および除塵シ ステムも供給
  • 新設備により鋼板製品ラインナップが拡充
  • スラブ断面の加熱制御ソリューションにより生産鋼種に対応したスラブ鋳造が可能に
  • 排ガス中の煤塵成分を削減

 

Primetals Technologies はウクライナの製鉄メーカーである MMKI 社(PJSC “llyich Iron and Steel Works of Mariupol”)* 1 から、2 ストランド(条)方式スラブ連続鋳造機、精錬設備装備のレードル炉 2 基、および付随する除塵システムを受注しました。先に 2014 年と 2015 年に受注した基本および詳細エ ンジニアリング業務はすでに完了しており、これに引き続く本体受注となりました。

 

Primetals Technologies は、スラブ連鋳機本体、150 トンのレードル炉 2 基と付属の精錬ステーション に加えて、溶鋼を注入する入口ゾーンのレードルターレット* 2およびタンディッシュカー* 3から、スラ ブの秤量、トーチ切断、マーキングおよびバリ取りなどの各装置を含む出口ゾーンまでの附帯設備一式 を供給します。

 

MMKI 社は 3 基の LD(BOF)転炉* 4で溶鋼を生産しています。Primetals Technologies が今回納入する 150 トンの新レードル炉* 5 2 基と付属の精錬ステーションにより、生産対象の材料等級コントロールと 正確な鋳造温度の調節が可能となります。レードル炉には定格出力 28 MVA の大型変圧器で電力が供給 され、毎分 4.5°C の昇温速度を実現します。Primetals Technologies は、レードル精錬設備から発生す るオフガスの浄化用除塵システムも設計し、ウクライナ国家規格で最大 50 mg/m3、EU 規格で最大 30 mg/m3 にそれぞれ規制されているオフガス中の煤塵成分は、この除塵システムにより最大 12 mg/m3 レ ベルにまで削減されることから、MMKI 社のあるマリウポリ市の環境は大きく改善されます。新規設備 の稼動開始後、インゴット鋳造ヤードの運用は休止、ブルーム圧延機は停止される予定です。

 

新たに投入される第 4 スラブ連鋳機(CC4)の年間スラブ生産量は 250 万トンの設計。これにより MMKI 社のスラブ年間生産能力は合計で約 400 万トンに増強され、製品ラインナップも、HC 鋼* 6、 UHC 鋼* 6および ULC 鋼* 6等が拡充されます。さらに、高度なレベル 3 の加熱制御ソリューションを適 用して、生産する鋼種に対応したスラブ鋳造が可能となります。

 

連鋳機の湾曲半径は 9 メートル、凝固完了長さは 29.8 メートルで、厚さ 170 ミリメートル及び 250 ミ リメートル、幅 900 から 1,550 ミリメートルのスラブを、毎分最大 2.2 メートルの速度で鋳造。付属機 構として、モールドレベル自動制御機能(LevCon)*7、オンラインのスラブ幅自動調整装置 (DynaWidth)* 8を搭載したカセットタイプのストレート型モールド(Smart Mold)* 9及びモールドオ シレーター (DynaFlex) * 10 が装備されます。ストランドガイドには独自の制御機構(Smart Segments) * 11と成形用中間ロール(I-Star)* 12を装備、さらにソフトリダクション(DynaGap) * 13、二次冷却制 御機構(Dynacs 3D)* 14及び冷却スプレーノズル(DynaJet) * 15の設置により、スラブの内部品質も向 上し、包晶鋼、包晶合金鋼、低炭素鋼から中、高および極高炭素鋼、さらには中炭素合金鋼など、広範 な高規格鋼が生産可能となります。

 

MMKI 社はウクライナの大手鉄鋼メーカーで、炭素鋼、低合金鋼および合金鋼など広範な鋼種の鋼板製 品を、パイプライン、造船、圧力容器および建設用として、厚鋼板、熱延および冷延鋼板、コイルなど さまざまな用途向けに生産しています。これまで Primetals Technologies は、同社向けとして、2006 年 に運転開始の単ストランド方式の第 3 スラブ連鋳機(CCM3)を納入・稼動させています。

 

Primetals Technologies がウクライナの MMKI 社に納入した第 3 スラブ連鋳機 (CCM3)。今回新たに第 4 スラブ連鋳機(CC4)と二次精錬設備を受注。

 

*1 MMKI (PJSC “llyich Iron and Steel Works of Mariupol”):ウクライナ東部・黒海沿岸のリゾー ト・工業都市であるマリウポリ市にあり、レーニンの本名(ミドルネーム)で ある Iljitsch(イリッチ)を冠称した製鉄会社。ロシア語の会社名を英語表記す ると Mariupol Metallurgical C(K)ombinate of IIjitsch の意味となり、MMKI が略 称。マリウポリ・イリッチ製鉄所。PJSC は public joint stock company の略。
*2 レードルターレット:レードルを乗せる架台
*3 タンディッシュカー:レードル搬送用台車
*4 LD(BOF)転炉:酸素を炉の上部から吹き込む方式(Basic Oxygen Furnace)で、1950 年代に Linz(リンツ)製鉄所並びに Donawitz(ドナウ)製鉄所で開発されたため、そ の頭文字から LD と呼ばれる転炉。
*5 レードル炉:取鍋(レードル)に入った状態の溶鋼をアーク放電で加熱する加熱炉。スラグ改質 が可能で、溶鋼の脱硫および介在物の除去を行う。
*6 HC 鋼、UHC 鋼、ULC 鋼:High Carbon Steel(高炭素鋼)、Ultra High Carbon Steel(超高炭素 鋼)、Ultra Low Carbon Steel(極低炭素鋼)
*7 モールドレベル自動制御機能 LevCon:鋳型内の湯面レベルの精密制御で油面レベルの安定性を 確保するシステム。
*8 DynaWidth:Primetals Technologies が供給する、動的に鋳片の幅を調整するシステム。機械のバ ックラッシュと隙間を低減することにより、システムの精度を上げ、メンテナ ンスコストを削減する。
*9 Smart Mold:連鋳機の溶鋼注入入口のモールド鋳型をカセット方式として交換を容易にした機構。
*10 DynaFlex モールドオシレーター:鋳型を微妙に振動させることにより連続鋳造中に移動する鋳 片と鋳型との間に生じる摩擦を軽減し、半製品であるスラブ等の表面品質を向 上させる発振器。
*11 Smart Segments:連鋳機の制御機構で、鋳造速度の変化に追従した鋳造用ロールの上下位置の 自動制御、軽圧下の最適化を行う Primetals Technologies 独自の機構。
*12 I-Star ロール:内部水冷方式の成型用中間ロール。
*13 DynaGap:ダイナミック冷却モデルの目標計算値を基に、鋳片の最終凝固領域に鋳造ロールの上 下位置を制御するシステム。
*14 Dynacs 3D 二次冷却モデル:鋳造中の溶鋼内部の温度分布を3次元解析して冷却処理を計算する Primetals Technologies 独自の冷却制御モデル。
*15 DynaJet:Primetals Technologies 独自の冷却用スプレーノズル

Primetals Technologies, Limited は本社を英国、ロンドンに置き、金属鉄鋼産業にとって、エンジニアリングやプラント建設全般の、世界的 リーダーかつライフサイクル・パートナーです。当社は電機、オートメーション及び環境の総合ソリューションを含めた技術、製品、サービス の一式を提供します。鉄鋼のあらゆる分野を網羅するだけでなく、非鉄分野部門にも最新の圧延ソリューションをお届けします。当社は三菱重 工グループで、株式会社日立製作所、並びに株式会社 IHI が資本参加している三菱日立製鉄機械と、シーメンス・グループのシーメンス VAI メ タルズテクノロジーズ社の統合により発足しました。出資比率は三菱日立製鉄機械が 51%、シーメンスが 49%です。発足時の従業員数は全世 界で約 7,000 人。詳しくは、下記 URL より当社公式ウェブサイトをご覧ください。 公式ウェブサイト:www.primetals.com