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ロンドン2020年3月 30日
中国・宝山鋼鉄向け連続鋳造機の統合管制センターが稼 働を開始
- 新しい統合管制センター(ICC)が連続鋳造プラント全体の制御と監視を実現
- 統合管制センターへの移転により、鋳造プラットフォーム上の危険区域での作業が大幅に低減
- 標準作業のオートメーション化により、生産性の向上と鋳片品質の改善を実現
- 鋳造プラットフォーム用ロボットによる作業の効率化と運転作業者の安全性向上
- 自動顔認識を用いたアクセスシステムによる運用セキュリティーの改善
プライメタルズテクノロジーズ(Primetals Technologies)の協力のもと、宝山鋼鉄股份有限公司(以 下、宝山鋼鉄)の上海第 1 製鋼所において、2 ストランド式連続鋳造機 CC3 向け統合管制センター (ICC)の試運転が実施されました。これにより、プラント全体の運転・監視が可能な統合管制センタ ーが実現しました。目的は、危険場所(溶鋼の付近)における作業者の時間を低減と、そうした作業を 空調の効いた ICC に移転することで、以前は手作業で行わざるを得なかった標準作業も、今では自動で 実施できるようになりました。全自動のトップフィーディング、鋳込み前の較正作業、鋳込み開始時の 立ち上げ手順、自動鋳込み終了手順などです。
当社は、この新管制センターに HMI タッチパネルを設置し、プラント自体に対しては最新のオートメー ションソフトウェアと革新的な技術パッケージ(鋳型の湯面レベル制御システム「レブコン (LevCon)」、引抜駆動装置の制御システム「ドライブコン(DriveCon)」、スラブの内部品質を改 善する軽圧下システム「ダイナギャップソフトリダクション(DynaGap Soft Reduction)」など)を装 備しました。また、鋳造プラットフォーム用ロボットを 2 基設置したことで作業が効率化され、さらに 顔認識を活用した新アクセスシステムにより、運用面のセキュリティーも改善されました。
統合管制センター(ICC)による安全性の向上
最近まで、連続鋳造機 CC3 の運転作業者は危険区域(例えば、溶鋼近く)での作業を余儀なくされて いましたが、今回の ICC の設置により、タレットでのレードル移送から出側セクションに至るまで、プ ラント全体の集中制御と監視が可能になりました。主管制センターでは、OS5(LiquiRob 操作などのレ ードルタレット制御ステーションセンター)、OS1(鋳造機パルピット)、LCP タンディッシュカー、 HWAM 鋳型、引抜鋳片駆動装置などの重要制御機能がミラーリングされ、これにより運転作業者が鋳造 機本体に立ち会うのは鋳込み初期段階と保守作業時のみとなり、その他の全作業は ICC から実施するこ とが可能になりました。このために、+OS2 管制センターの既存 HMI ターミナルには、キースイッチの 切り替え作業と安全機能を実行するための 6 台のタッチパネルとコンソールエレメントが追加されまし た。また、カメラ数台の追設とモニターウォールの新設によりプラント全体の監視が可能になり、結果 として、宝山鋼鉄は+OS3 出側セクションの管制センターを廃止することができました。
最先端のオートメーション技術による生産性の向上と鋳片品質の改善
宝山鋼鉄では、鋳造機の生産性とスラブ品質に対する要求の高まりを受け、旧式のオートメーションシ ステムを新しく置き換える必要性が生じていました。同社は 2016 年 11 月の早い段階から、長年のパー トナーである当社に対してプラントの改造と基本(レベル 1)およびプロセス(レベル 2)オートメー ションの近代化を依頼し、第 2 期工事の 2019 年後半に ICC の導入が実行されました。
鋳造プラントの近代化工事は、自動スタート機能と自動中心偏析改善機能を備えた鋳型湯面レベル制御 システムであるレブコンをはじめ、、自動スラブ幅調節機構「ダイナウィデュス(DynaWidth)」、油 圧式鋳型オシレータ「ダイナフレックス(DynaFlex Osci)」、ブレークアウト検知システム「モール ドエキスパート(Mold Expert)」、EMS 撹拌装置、トップフィーディング用の全自動ダミーバー挿入 システムなどで構成されています。また、二次冷却モデルの「ダイナックス3D(Dynacs 3D)」は鋳 片の全長にわたって温度分布をダイナミックに計算し、さらに軽圧下システムの「ダイナギャップソフ トリダクション」はスラブの内部品質を改善します。
鋳造ロボットとデジタルアクセスシステムによる労働安全性の向上
レードルおよびタンディッシュセクションでは、レードルシュラウドの操作、温度測定とサンプリング、 タンディッシュパウダーの散布、およびランシング用として、2 基の鋳造プラットフォーム用ロボット 「リキロボ(LiquiRob)」が導入され、危険区域での作業が大幅に低減されました。鋳込みパウダーの 自動散布用にも追加のロボットが設置されました。
また、連続鋳造機の全エリアにデジタルアクセスシステムが導入され、あらゆるゲートにカメラも設置 されました。これらは顔認証システムによって個々のエリアへのアクセスを管理するもので、適切なト レーニングを受けた権限のあるスタッフのみがアクセスを許されます。さらに、試運転期間中、当社な どの社外パートナーのアクセスを厳密に管理することも可能でした。
宝山鋼鉄は、新たに発足した年間生産量 7,000 万トンを誇る世界第 2 位の鉄鋼メーカーである中国宝武 鋼鉄集団(China Baowu Steel Group Corp Ltd)の一員で、中国国内および国際市場に向けて、高品質 な製品を生産しています。上海の第 1 製鋼所の連続鋳造機 CC3 では、2 ストランドでそれぞれ板幅 1200~2300 ミリメートルのスラブを生産しており、同基の年間生産能力は 230 万トンです。
宝山鋼鉄の上海第 1 製鋼所の連続鋳造機 CC3 に新設された統合管制センターによって、 生産性と労働安全性の双方が改善されます。
プライメタルズ テクノロジーズ (Primetals Technologies, Limited)は本社を英国・ロンドンに置き、金属鉄鋼産業におけるエンジニアリング、 プラント建設、およびライフサイクルサービスの提供を行うパイオニアかつ世界的リーダーです。当社は電機、オートメーション、デジタライ ゼーション、及び環境の総合ソリューションを含めた技術、製品、サービスの一式を提供しており、原材料から完成品まで鉄鋼のあらゆる分野 を網羅するだけでなく、非鉄分野でも最新の圧延ソリューションをお届けします。当社は三菱重工およびパートナーの出資によるグループ会社 で、従業員数は全世界で約 7,000 人です。詳しくは、下記 URL より当社公式ウェブサイトをご覧ください。 公式ウェブサイト: www.primetals.com.