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ロンドン2023年10月 30日

ティッセンクルップスチール向け新設2スタンドリバースコールドミルが電磁鋼板とAHSSの最高級品を生産

  • ティッセンクルップスチール向け「ハイパーUCミル(冷間圧延機)」新設工事完工
  • 自動車や電気自動車用モーターに使用される、より硬く薄い鋼板を生産
  • 先進の電磁鋼板技術ハイパーUCMを採用した世界初の2スタンドリバースコールドミル
  • シングルスタンドミルに比べ生産量が大幅に拡大

プライメタルズ テクノロジーズ(Primetals Technologies)が、ドイツの大手鉄鋼メーカー、ティッセンクルップスチール(thyssenkrupp Steel)向けに新設した2スタンドリバースコールドミルがファーストコイルを生産しました。10月30日、ドイツのボーフム製鉄所で開催された祝賀イベントにおいて、同社の将来計画の中心的な設備となるこの圧延機の完工式が行われ、同社COO Heike Denecke-Arnold氏やボーフム市長Thomas Eiskirch氏など来賓がスピーチを行いました。

ティッセンクルップ スチールCOO Heike Denecke-Arnold氏談

「ティッセンクルップ スチールは、高張力鋼板とe-モビリティの分野を大幅に強化し、製品の品質を通じて他社との差別化を一層強固にしたいと考えています。一例として、鋼板をより薄く、より強くしてエネルギー効率を今以上に高め、EVの航続距離を伸ばしたいと考えています。」

このプロジェクトでは、パンデミックやウクライナ戦争からサプライチェーンや納期が影響を受けたため数々の難題がありました。しかし、プロジェクト管理に特別な配慮を行い、効果的でオープンなコミュニケーションをとることで、工事は予定通りに進みました。また、詳細な3Dモデルの使用で、事前組立作業が非常にスムーズかつ効率的に行われ、電気とオートメーションシステムも含めた設備全体がわずか6ヶ月で完成しました。

より薄く、より軽く

ダブルリバースミルは、その往復動作により、最終製品の板厚を爪よりも薄い0.2ミリメートルまで圧延します。一方、汎用性が非常に高いため、可能な限り強度を高めた厚板の製品にも対応します。このような驚異的な寸法の鋼板は、熟練オペレーターが高度なオートメーションソリューションを使用して製造します。プライメタルズ テクノロジーズ電気オートメーション責任者Hans-Jürgen Zeiher氏談「ティッセンクルップ スチールが電磁鋼板市場で一層成長する目標を支援できることを大変嬉しく思います。EVに使用される先進的な超高張力鋼板のニーズは、今後数十年で極めて高くなると予測されています。このミルの完成で、EVに必要な、より薄くより軽い高品質鋼材を供給する準備が整いました。」

電磁鋼板冷間圧延におけるマーケットリーダー

当社が本プロジェクトのサプライヤーに選ばれた理由は様々ですが、その一つは、アジアにおける高い実績です。電磁鋼板製造における冷間圧延ソリューションのマーケットリーダーである当社は、アジアで90%の市場シェアを誇っています。もう一つの重要な要因は、クラックが最も発生しやすい鋼板のエッジに非常に柔軟に対応できるハイパーUCミルのユニークな特徴です。

高張力ペイオフリールと鋼板加熱装置、当社のMinimum Quantity Lubrication(MQL)システムの組み合わせが、スムーズな初パスの圧延を実現します。ハイパーUCミルは、ワークロールと中間ロールの最適な径の組み合わせを備えています。このため、鋼板の最終製品寸法にとって重要な、小径のワークロールを使用することができ、極めて薄い製品の製造が可能となります。さらに、高張力のテンションリールとさまざまな潤滑技術により、従来の冷間圧延機に比べて高い圧下率を達成することができます。

圧延プロセスの最適化

この圧延機の機械設備、電気設備、オートメーション設備はすべて当社が納入し、据付と実装も担当しています。オートメーションは、極薄の高張度鋼種の生産にも役立っています。例えば、レベル2のオートメーションは、コイラーの振れ、ロールの偏心、メインドライブの利用率を補正するアルゴリズムを備えています。さらに、実績のあるロールギャップ、ロール温度、ストリップ温度のプロセスモデルが実装されており、圧延材の平坦度に関連する設定だけでなく、圧延プロセス全体の制御をサポートします。当社の平坦度測定ソリューションである非接触型形状モニターは、高度な平坦度制御システムに不可欠です。

ティッセンクルップスチールとの大型プロジェクト3件

2021年、当社はティッセンクルップスチール向けリバースコールドミル、ホットストリップミル、連続鋳造機2基の大型プロジェクトを受注しました。すべてのプロジェクトは2025年内に完工する予定です。年間粗鋼生産量約1,100万トンのティッセンクルップスチールは、全世界で約2万6,000人を雇用しています。また、2030年までに年間500万トンのCO2ニュートラル鋼を生産するという目標を掲げ、遅くとも2045年までにクライメイトニュートラルな生産の実現を目指しています。

10月30日に行われた2スタンドリバースコールドミルの完工式

左から

ティッセンクルップスチール Head of Technology and Environment Management、

            Harald Espenhahn氏

ティッセンクルップスチールTechnology、Ralf Häußler氏

ティッセンクルップスチール ボーフムWorks Council、Engin Karakurt氏

ティッセンクルップスチール Head of Downstream Operations、Andy Rohe氏

ボーフム経済発展責任者 Thomas Wollinger氏

ティッセンクルップスチール Chief Operations Officer、Heike Denecke-Arnold氏

プライメタルズ テクノロジーズEVP、Hans-Jürgen Zeiher氏

ボーフム市長 Thomas Eiskirch氏

ティッセンクルップスチールPlant Area Manager Bochum、Markus Kovac氏

(写真提供: ティッセンクルップスチール)

新設ダブルリバースコールドミルのファーストコイルを祝うプライメタルズ テクノロジーズチーム

先進の電磁鋼板圧延技術ハイパーUCミルを世界で初めて採用した2スタンドリバースコールドミル

(写真提供: ティッセンクルップスチール)


プライメタルズテクノロジーズPrimetals Technologiesは本社を英国・ロンドンに置き、金属鉄鋼産業におけるエンジニアリング、プラント建設、およびライフサイクルサービスの提供を行うパイオニアかつ世界的リーダーです。当社は電機、オートメーション、デジタライゼーション、及び環境の総合ソリューションを含めた技術、製品、サービスの一式を提供しており、原材料から完成品まで鉄鋼のあらゆる分野を網羅するだけでなく、非鉄分野でも最新の圧延ソリューションをお届けします。当社は、三菱重工グループの100%出資によるグループ会社で、従業員数は全世界で約7,000人です。詳しくは、下記URLより当社公式ウェブサイトをご覧ください。 

公式ウェブサイト:https://www.primetals.com/jp