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ロンドン2016年12月 15日
Primetals Technologies、オランダのタタ・スチール・エ イマイデン社よりスラブ連続鋳造機を受注
- 数々の技術パッケージによりスラブ内部及び表面の品質を高度化
- スラブ生産能力は年産 270 万トン
- 生産されるスラブは自動車産業向け鋼材製品に加工へ
- 今回のエイマイデン向けプラントは同種プラントで最先端のモデル
Primetals Technologies は、オランダの鉄鋼メーカーであるタタ・スチール・エイマイデン社(Tata Steel IJmuiden BV )*1 より、スラブ連続鋳造機を受注しました。年間 270 万トンのスラブ生産能力を 持つ本プラントは、当社独自の技術パッケージを多数適用することにより、スラブの内部及び表面品質 が高く、自動車産業用鋼材の素材となる高品質鋼種スラブが鋳造可能です。同種のプラントでは最先端 のモデルとなる本連鋳機はプロセスターンキー方式で建設予定であり、試運転は 2019 年 3 月の予定で す。
投入されるスラブ連鋳機は、湾曲半径 9.5 メートル、凝固完了長さ 32.7 メートル、製造されるスラブは 板厚 180~305 ミリ、板幅 900~2,150 ミリ、対象鋼種は炭素鋼、高グレードの包晶鋼、構造用鋼、 HSLA 鋼(高強度低合金鋼)といった幅広いグレードが生産可能です。
この連鋳機には、ストレート形状の鋳型(Smart Mold)*2、電磁誘導式の溶鋼撹拌装置*3、鋳型内の湯 面レベルの制御システム(LevCon)*4、ブレークアウト(湯もれ)の光ファイバー温度測定による検 知システム(Mold Expert)*5、鋳造中でもスラブ幅が変更可能な機構(DynaWidth)*6、モールド鋳型 のオシレータ機構(DynaFlex)*7 などを搭載。さらに連鋳機のストランド・ガイドの各セグメントに取 り付けられている特殊ローラー(EcoStar Spiral)*8 は、当社独自の高温鋳造対応システム(DynaTac) *9 にも適応可能な機構となっています。
連続鋳造の最終凝固から二次冷却に至るプロセスについては、プロセス計算モデル(Dynacs 3D) *10 によってストランド全長に渡る(凝固中の)スラブの 3 次元温度分布を時々刻々算出し、鋳造速度、ス ラブサイズ、鋼種の関数として、ストランドの最終凝固点と二次冷却設定温度を正確に算定。このリア ルタイムの算出値に基づき、3D 軽圧下システム(DynaGap Soft Reduction 3D)*11、圧下ローラーな どを最終凝固中に時々刻々調整すると共に、可動ノズル装備の冷却システム(3D Sprays)*12 によりス ラブ全幅に渡って均一かつ最適な二次冷却を施工し、スラブ品質を改善します Primetals Technologies は、新設されるスラブ連続鋳造機の基本及び詳細エンジニアリング、中核とな る構成機器の製造、基本及びプロセスオートメーション一式、水処理プラントの機器及び建屋建設工事 を担当します。
タタ・スチール・エイマイデン社は、タタ・スチール・ヨーロッパ社を構成するグループ会社で、タ タ・スチール社の欧州最大規模の生産拠点として年間 700 万トンの粗鋼を生産しています。エイマイデ ン社は多種多様な用途向けに鉄鋼製品を生産しており、主な需要先である自動車、建設、包装などの産 業向けに加えて、バッテリ、パイプ、産業用車両、家庭用電気品用としても供給しています。
Primetals Technologies のスラブ連続鋳造機で製造される高品質スラブ。
*1 タタ・スチール・エイマイデン社:Tata Steel IJmuiden BV。2010 年に旧 Corus Staal B.V. から Tata Steel グループに加わり現在に至る。高炉から最終製品までの一貫製鉄所として スラブ、熱延及び冷延コイル、メッキ及び塗装鋼板などを製造しており、イギ リス南部のポートタルボット(Port Talbot)製鉄所と共に、タタ・スチール社 の欧州最大の製造拠点。
*2 Smart Mold :連鋳機の溶鋼注入入口のモールド鋳型をカセット方式として交換を容易にした 機構。
*3 電磁誘導式撹拌装置:液体状の溶鋼を均一な品質とするために電磁誘導方式で流体を撹拌する装置。
*4 LevCon システム :モールドレベル自動制御機能。精密制御で鋳型内の湯面レベルの安定性を確保 するシステム。
*5 Mold Expert システム:光ファイバー温度測定によるブレークアウトを検知するシステム。
*6 DynaWidth システム:鋳造中でもスラブ幅を変更可能な 動的に鋳片の幅を調整するシステム。機械 のバックラッシュと隙間を低減することにより、システムの精度を上げ、メン テナンスコストを削減する。
*7 DynaFlex :モールドオシレーター。鋳型を微妙に振動させることにより連続鋳造中に移動 する鋳片と鋳型との間に生じる摩擦を軽減し、半製品であるスラブ等の表面品 質を向上させる発振装置。
*8 EcoStar Spiral ローラー:らせん状の溝を掘り込んだローラー軸にローラーをはめ込んで内部冷却機 構を持たせた当社独自の分割式ローラー
*9 DynaTac:高温鋳造用の総合システムとして、温度抵抗などの冶金的プロセスモデル、ストランドガ イドの機械構造などを含めた技術パッケージ。凝固に伴う表面割れなど起こし やすい微細金属組織を持つ高グレード鋼、高張力鋼など、強制冷却を最小限と して慎重に加工しなければならない場合に行われる高温鋳造法を実現するもの。
*10 Dynacs 3D プロセスモデル: 二次冷却モデル。鋳造中の溶鋼内部の温度分布を3次元解析して 冷却処理を計算する Primetals Technologies 独自の冷却制御モデル。
*11 DynaGap Soft Reduction 3D :3D 軽圧下システム。ダイナミック冷却モデルの目標計算値を基に、 鋳片の最終凝固領域に鋳造ロールの上下位置を制御するシステム。
*12 3D Sprays システム:Primetals Technologies 独自の冷却用スプレーノズル DynaJet を使用して、 3 次元的に均一な温度分布となるように冷却する独自のシステム。
Primetals Technologies, Limited は本社を英国、ロンドンに置き、金属鉄鋼産業にとって、エンジニアリングやプラント建設全般の、世界的 リーダーかつライフサイクル・パートナーです。当社は電機、オートメーション及び環境の総合ソリューションを含めた技術、製品、サービス の一式を提供します。鉄鋼のあらゆる分野を網羅するだけでなく、非鉄分野部門にも最新の圧延ソリューションをお届けします。当社は三菱重 工グループで、株式会社日立製作所、並びに株式会社 IHI が資本参加している三菱日立製鉄機械と、シーメンス・グループのシーメンス VAI メ タルズテクノロジーズ社の統合により発足しました。出資比率は三菱日立製鉄機械が 51%、シーメンスが 49%です。発足時の従業員数は全世 界で約 7,000 人。詳しくは、下記 URL より当社公式ウェブサイトをご覧ください。 公式ウェブサイト:www.primetals.com